初墜落 at.中山尾根


■ 初墜落
 いままでの山行でこりゃ死ぬかもと思ったのは、19才の1月北アの稜線で寒波に閉じこめられ、いよいよ4人でラーメン1個ガソリン100ccとなったとき,鹿島槍で雪板雪崩に流された時、そして今回の初墜落である。

 中山尾根の第2岩峰は、先行パーティーで渋滞している。真ん中のガリーの右側を先行パーティーは登っているが、前回吹雪の時は我々はガリー左手フェースを出だし10mノーピンで登りとてもいやだった。

 今回は、快晴で岩場に太陽もあたり最高のコンディションである。ガリー左側は少し登ると垂壁であるが、よく打ち込まれた真新しいピトンがあるし、その左上の岩頭にはスリングをかけられそうだ。はたして登ってみると、岩頭にはスリングをバッチリかけられる。カラビナをスリングにかけロープを通して、これで中間支点は2箇所で万全だ。垂壁を少しのぼり、岩頭の上部に左足がかかる小さなフットホールド、右足のおく場所が無い。
 右足を内側からまわし左足のフットホールドに。次の左足のフットホールドが無いので、左足をもとのフットホールドにおき、右足を岩頭右手の壁に押しつけ両手で岩頭上部を持ち、左足を上げようとした時、墜落。

 約2m。手が甘く、右足が壁に押しつけで効いているかなと不安だったけど、まさか墜ちるとは。中間支点は2箇所で万全だからこそ行った、無理というか大胆な動きである。墜ちた瞬間、死ぬかなと思った時には、もう止まっていた。「へー、ふーん、効いたか」というのが、まず発した言葉。墜落率1/4だから、私にかかる衝撃力は300kg,ピトンとスリングの両方で450kg、竜少年に150kgである。まー、難がないのは、計算上当然である。


 しかし、安全は墜ちないと墜ちても大丈夫の両方で成立している。絶対、リーダーは墜ちてはいけないのになぜ墜ちた。墜ちた後の方が、精神的動揺があるはずだが何事もなく上にあがった。

中間支点に頼るくせがあるのではないか?中間支点が万全だと動作が雑になるのでは?
墜ちたところは5.8くらいで、登りなおしたところは5.7くらいである。だから、最初から5.7の所を登れば墜ちなかった。
 中間支点の有無に関わらず無理のない登りをする習慣をつけないと、恐いなー。

 それから、今回、中山尾根では集中力が何故か欠けていたようである。

 これらに注意しないと、かならず次にまた墜ちることがある。一度あることは必ず2度ある。

                                (記 錦少年)